はまちゃんの想い

今日は朝と午後の2部練。

朝の練習は、満足にメニューをこなせる人がとても少なかった。
練習中の声もほとんど聞こえない。
夏の合宿の時の雰囲気はどこへいったんだろう?
こんなんで、県大会は大丈夫だろうか?

そう思っていたら、ミーティングではまちゃんが同じようなことを言った。
今の状態じゃ勝てない。
夏にできていたことをもう忘れている。
思い出せなければ、それまでだ。

午後は、少しでも気持ちを切り替えて練習できただろうか?

すべて終わった夕方のミーティング。
少し風があって肌寒かったので、体育館の中に入れて、はまちゃんが話をする。

大会の日の試合展開のイメージを話して聞かせるはまちゃん。
みんな一生懸命聞いている。
落ち着いて話をするはまちゃんを見ていて、ふと、思う。

クールに話をしているけれど、この人が一番熱い。

去年負けた時、誰よりも悔しく、苦しい思いをしたのは彼なのだ。
子供たちは泣くことで悔しさをあらわにした。
けれど、監督という立場で、負けた責任をすべてその身に引き受けたはまちゃんはそうもいかない。
すべて監督の責任です、と、頭を下げる。
監督という立場は、そういうものなのだ。
きっと1人になった時、心で泣いていたはずだ。
けれど、そんな暇もなかったかもしれない。
すぐにチームの立て直しにかからなければならなかったから。
1年後の優勝に向けて。
誰よりも、熱い想いを胸に秘めて。

そして、あれから1年。
ずっと一緒にがんばってきた。
大変なことは多い。
特に今年は、はまちゃんが出張でいなかったことが多かった分、よけいに。
けれど、一度も苦に思ったことはない。
わたしにさえも見せない、その熱い想いを感じていたから。
わたしも一緒に、その想いを持っていたから。

ミーティング中、ふと、はまちゃんの言葉がとまる。

「そろそろまこ先生も、飛行機に乗せて本土まで連れてってあげないと。
 いつまでも留守番をさせておくわけにはいかないでしょう?」

みんなに、そう言ったはまちゃん。
いっちゃんやきょうちゃん、たいちゃんがわたしを見る。
そして、うなずく。

なんだか涙が出そうになった。

この1年、長かったような。
でもやっぱり速かった。

県大会まで、あと3週間。